DNAのある所


北海道での独り言
by tedtoyama
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自己紹介
男 
1996年から11年在住した米国シリコンバレーを後にして、2006年9月から北海道に移住。
パートナー2人と共に新しい生活を始める。
生まれて初めての北海道。
期待いっぱいで突進だ。
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セミ取り少年

アパートの部屋はオートロックになっている。電子キーで2つ所有し使っているのだが、今朝それを部屋に忘れたままロックドアウトしてしまった。シャワーを浴びコーヒーを飲んだにもかかわらず、頭は霧がかかった状態でイニシャルリセットされておらずリブートを繰り返しているような感じだった。駐車場まで歩いているときキーが無いことに気付いた。「あれま!」あーめんどくさい、と思いつつ新しいキーをいただきにアパートのオフィスまで行った。「ロックドアウトしてしまったので新しいキーをくださぁーい」「はぁーい」と、双方朝のすがすがしさを含んだ間延び声で接した。一個新しいキーを持ってきたのでもう一つ下さいな、と頼んだら、今までのを返しに来たときに差し上げましょう、とのこと。早速古いキーを返しに来たらさっきとは違った人が対応した。これ古いキー2つね、さっき新しいキーを一つ作ってもらったのだけど2つ欲しいのでもう一つ作ってね。とお願いしつつ新しいのと古い二つを分けて渡した。
はいはい、全部で三つね。
いえいえ、二つ欲しいので後一つです。
ん?一つだったらこれでいいですね。
いやいや、この新しいのに加えてもう一つ欲しいのです。合計で2つ欲しいわけです。
(おめぇー、遊んでるんじゃねーよ!早く一個コピー取って来い。バーロ!)
(二つまではフリーだけど三つ目からは5ドルだったか10ドルだったか、費用かかるじゃんか。)
はい、わかりましたね。とキーを三つともザクっと持って行った。
(あらあら!どれが新しいのか古いのか分からなくなっちゃったねぇ。多分)
さあ出来ましたよ!全部で三つ、どうぞ!
と料金を請求するわけでもなく私の前に差し出された三つの新しい(だろう)キー。
しばしキーを眺めましたね。もうどうでもいいや、と思いそれを受け取って一旦部屋に向かった。三つとも有効なキーだった。
話が通じねーなぁ、と朝っぱらから一日分の精神的疲労を引きずって再度駐車場に向かいながらふと、二十数年前の学生時代のある夏の日を思い出していた。
大学の同級生が私の地元静岡の教員採用試験を受けるため実家に宿泊していた。学校関係は夏休みの頃だった。まだ試験が数日後のある日、実家の近くにあるテニスコートで夕方テニスをしようということになった。5時過ぎとはいえ日差しは高く蒸し熱い日だった。実家の周りは当時、テニスコートを除けば小さな雑木林が点在していて自然の多い場所であった。
麦わら帽子をかぶり虫かごをたすきに肩にかけた少年が一人、雑木林に立ち向かっていた。
ふと、みんな夏休みなのに彼一人か?と自分の少年期を思い出した。もうセミを取ったりして外で遊ぶことは無くなったのかなぁ?とちょっと悲しくなりつつもその少年の背を見つめた。セミは、ここまで皆で鳴けば何処にいるかわかんねーだろ、と言わんばかりに、規則的な泣き声をサラウンドで放っていた。
テニスを始めてふと気が付いた。さっきの少年がコートの端に居る。最初はたたずんでいたのだがそのうちにボールを拾い始めた。私たちに戻してくれるわけですね。「おおー!ありがとう」としばらくまたパッコンパッコンやっていた。
いやー!いい汗かいたなぁーと、もうちょっと続けようか止めようか迷いつつ汗を拭いていたら少年が目の前まで来てボールを手渡してくれた。
「さっきからありがとう。君は一人でさっきセミを取っていたねぇ?」
「うん、そうだよ!」
「セミは取れたかい?」
「うん、取れたよ」
「そうか、さっきからボール拾いしてくれてありがとう、でももう7時になるから帰った方がいいんじゃないか?お兄さん(当時はお兄さんでした)達ももうちょっとしたら帰るから」
「うん!僕のうちは近くなんだ!お母さんが晩御飯作ってくれるから6時半までに帰るんだ!」
「???おっ!もう7時近くだ。早く帰りなさい。お母さんが心配しているから」
「うん!大丈夫だよ!僕は6時半までに帰ればいいんだ!お母さんと一緒にご飯食べるから!」
「そうか、わかった。でももう6時半は過ぎているんだよ。7時近いんだよ。帰りなさいね」
「うん!おじさんたちもう止めるの?」
「もうちょっとテニスして帰るよ」
「そうなの!じゃボール拾うね!」
「いやいや、ボール拾いはもういいよ、お母さんが待ってるから帰りなさいね」
「うん!大丈夫だよ!僕6時半までに帰ればいいんだ」
「???・・・」
きれいな瞳の、純白な心を持った一途な少年が目の前にいた。でも話は通じなかった。
続きのテニスはあきらめて帰宅した。途中少年の背中を追ったが寂しそうに雑木林に消えていった。
以来、私の周りにはいまだに「セミ取り少年」が突然現れる。
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by tedtoyama | 2005-03-26 16:06 | 日記
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